
パートのこんな場合
女性たちの苦痛は察してあまりあります。
「こんなこと、やめさせてください」と上司に訴えても、いっこうに聞き届けられません。
それどころか、一部の上司(男性)には一緒になってそれを楽しんでいた人もいたようです。
H社の最大の誤算は、アメリカの国民感情を逆撫でしてしまったことでしょう。
H社の従業員など約2600人が、この訴訟に反対する大規模なデモを行いました。
訴訟の不当性をマスコミなどにアピールするねらいがあったようですが、あとでデモ参加者の交通費や昼食代、日当までもH社が負担していたことがわかり、逆に、マスコミが「会社主導のやらせデモだ」と非難のキャンペーンを行ったのです。
これがきっかけの一つとなって、全米規模の人権団体や女性団体、公民権運動家などが原告の支援に乗りだし、アメリカ中からの言々たる非難の中で、H社は負けるべくして負けたのでした。
私たちは、これほど大規模な係争には直接タッチしていません。
ただ、私が悲しかったのは、ある大手日系企業の社員の方(マネージャークラス)から、次のような言葉を聞いたことでした。
訴訟にかかわるコストや損失は計りしれないものにつく社のさんとしておきましょう。
社もまた、先のG社やH社と同様、自社の社員から起こされた訴訟によって、少なからぬ賠償金を支払った痛い経験があります。
G社やH社の事件が他人事とは思えなかったのでしょう。
「どこにでも、企業からカネをとってやろうという悪質な連中がいるもんですよ。
飼い犬に噛まれるとは、このことだね。
悔しいけど、ウチもそんなヤツらにひっかかってしまったわけですよ。
でも、ウチはあれくらいの出費でつぶれるわけがない。
カネをとりたいヤツらには、いくらでも支払ってやるさ」そういって訴訟を起こした自社社員の素行の悪さを並べ立て、また漏れ聞いた話として、G社社員(訴訟を起こした二人)の普段の仕事ぶりに関する問題点や、H社の女性従業員の中から補償金目当ての便乗組が多数出たこと、さらにはアメリカの裁判の不当性などを、私(ともう一人の日本人)に言い募ったのでした。
たぶんさんは、社をはじめとする大手日系企業が、賠償金くらいでびくともしないことを言いたかったのでしょう。
あるいは、すぐに裁判に持ち込み、精神的苦痛を多額の金銭によって賠償させようとするアメリカの風上が、日本人としてがまんならなかったのかもしれません。
ただ、こうした訴訟を自社(およびG社・H社)の社内文化や体質の問題として反省する気持ちや、今後の経営に対する危機感、さらには能動的な改革への意志といったものが、彼の言葉から感じとれなかったことが、私は悲しかったのです。
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